庭にミソハギを植えるときに考慮すべき理由は、以下の3点に集約されます。
- 盆の時期にお墓参りや祭壇に捧げる花であるため
- その花言葉が哀愁を帯びているため
- エゾミソハギが「世界で最も侵略的な外来種100選」に選ばれているため
ミソハギは多くの方に愛される植物ですが、「庭に植えることはおすすめできない」との意見もあります。
今回は、ミソハギを庭に植えるべきではない理由、もし植えるとしたらどういう人が適しているか、それに植える際の留意点について説いていきましょう。
ガーデニングが趣味の私が丁寧にお伝えします。
ミソハギ植栽の避けるべき3つのポイント
ミソハギを庭に植えるのを避けた方が良い理由は以下の三つに集約されます。
- 仏事関連の植物としてよく用いられるため
- その花言葉が喪失や別離といったネガティブな意味を持つため
- エゾミソハギが「世界で最も有害な侵略的外来種100」に選ばれているため
それぞれの詳細を一つずつ解説していきましょう。
ミソハギとは、お盆の時期に供えられる花として親しまれています
ミソハギは、お墓や仏壇にお供えするための盆花として広く知られており、我が国の伝統的なお盆の行事において重要な役割を果たしています。
この行事は、故人の霊が戻ってくる期間とされ、故人を思い祀るためにミソハギが使われるのです。
しかしながら、庭にはあえて植えないのが一般的で、それは庭に植えられると供養の意味合いが強くなり、タブーとされるからです。
お盆にミソハギを供える伝統的な背景
お盆には「餓鬼」という存在が登場し、これら地獄の餓えた霊が供養されることで救われるという考え方があります。
彼らは飲食物を求めて彷徨するものの、狭い喉のために実際に飲食できず、これを慰めるためにミソハギが供えられるようになりました。
そもそも「餓鬼」とは仏教の世界観における欲望に苛まれる存在として知られています。
禊の儀式と関連するミソハギの漢字表記
「禊萩」という漢字で表記されるミソハギは、禊という身を清める儀式と関連して名付けられたものです。過去にこの花が禊で使われたため、その名が残っています。
「盆花」や「精霊花」と呼ばれるミソハギの由来
ミソハギには「盆花」などの別名があります。それはお盆の季節に特に重要視され、先祖を迎える際に用いられるからに他なりません。
また、「精霊花」の名も持ち、これはお盆の期間中に先祖の霊に供えるために設けられる精霊棚にも飾られることが由来です。さまざまな食べ物や飲み物とともにミソハギも重要な供え物として位置づけられているのです。
ミソハギの花言葉の背景
ミソハギには特有の花言葉があります。その中でよく知られているのは以下の四つです:
- 愛の悲しみ
- 純真な愛情
- 悲哀
- 慈悲
これらの花言葉は、ミソハギが故人を偲ぶ場面で献花されることが一因となっています。特に、お盆やお彼岸の際に故人の霊を慰める花として使用されることから、ミソハギは哀しみを象徴する花と捉えられがちです。
その影響で、もし庭にミソハギを植えると、その花言葉に沿った「哀しみ」や「悲哀」の感情をもたらすことが懸念されるわけです。
さらに、ミソハギが「慈悲」の意味も持つことから、庭が慈悲深い空間に変わるとも言われており、それが逆に悲しみを誘う原因になると考える人もいます。
結果として、ミソハギの花言葉が哀しみに満ちているという認識から、この花を庭に植えるのを敬遠する傾向が生まれています。
エゾミソハギは侵略的外来種リストに名を連ねるが
エゾミソハギは北アメリカやニュージーランドに持ち込まれ、何れの地でも急激に繁殖した結果、「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定されています。
この事実があるがゆえに、日本国内においても「庭に植えるべきでない植物」との誤解が広まっているようです。
実のところ、エゾミソハギは日本原産の在来種であり、国内での栽培は全く問題ないのです。むしろ日本では野生のエゾミソハギが減少し、絶滅が危惧される状態になっており、保護対象となっているのが実情です。
自然に自生するエゾミソハギを無断で掘り取り、自らの庭に植え替えるなどの行為は、断じて許されるものではありません。
庭にミソハギを植えるのは避けるべき人
前述の説明からも分かる通り、庭にミソハギを植えること自体は何ら「実害」をもたらすものではありません。しかしながら、次のような方々には植えることをお勧めしません。
- 縁起を考慮する方
- 花言葉に敏感な方
縁起を重んじる人たちへ
ミソハギは日本の風土や伝統に密接な関わりを持ち、多数の方々が縁起の良いものとして位置付けています。
縁起の良し悪しに注意を払う方々には、庭にミソハギを植えることが不吉な運を招くとの認識が存在します。
さらに、お墓参りや仏壇でお供えする花としても使われることが多いミソハギは、自宅の庭に植えるにはふさわしくないとされることがしばしばです。
このような縁起や宗教に関する意識が根づいているため、特にこうしたことに配慮している人たちは、ミソハギを庭に植えるのは避ける方が賢明でしょう。
花言葉に敏感な方へ
ミソハギの持つ「愛の悲しみ」、「純真な愛情」、「悲哀」、「慈悲」という花言葉は、その意味合いに心を痛める人もいるかもしれません。
特に、家族の健康や幸福を願って植える場合、悲しみや慈悲という表現は望ましくないと感じることがあるでしょう。
花言葉に気を留める方は、むしろミソハギを避け、他の花を選んだほうが心穏やかに庭を楽しめるかもしれません。
しかし、花言葉は一般的なガイドラインであって、場合によっては異なる解釈をすることも大切です。
花言葉に過剰に反応し過ぎると、せっかくの花の美しさを楽しむことができなくなってしまうかもしれないので、あまり深刻に捉えない方がよいでしょう。
ミソハギを庭に植える際の注意点
庭にミソハギを植栽する時、いくつかの留意すべきポイントが存在します。
日照条件について
日照は植物の成長において極めて重要な要素です。特にミソハギは日光を非常に好む植物であり、光合成を行い活力をもたらす上で日光は不可欠です。
したがって、庭に植える際には、常に太陽の光が十分に当たる場所を選ぶことが大切です。
水やりのポイント
ミソハギの水やりは、その環境に応じて工夫をすることが大切です。
自然界では水辺の植物として知られるミソハギは、適度な水分を好むため、育成環境が乾燥しがちな場合は、湿度を保つために普段から注意を払いましょう。
特に鉢植えのミソハギを育てる際には、表土が乾燥していることを確認したら、水をたっぷりと与えることが重要です。
肥料の与え方
ミソハギの成長を促すためには、月に1度の緩効性肥料の投与が推奨されます。これで植物の栄養ニーズは満たされます。
また、病気や害虫に関しては、特に発生が見られる期間に注意深く観察し、初期段階での適切な手当が必要です。
さらに、ミソハギは植える場所をあまり選ばずに成長する性質があるため、計画外の場所に拡がってしまった株があれば、適時に除去するか、他の場所へ移植することをお勧めします。
まとめ
庭にミソハギを植えることに対して否定的な声がある理由をご紹介してきました。主に2つのポイントで反対されがちなんです。
- まず、不吉とされる花言葉が理由で不適切とされる場合があります。
- もうひとつは、エゾミソハギが特定の地域で侵略的外来種として問題視されるケースです。
最初の理由に関しては、縁起の良し悪しを気にするかどうかは個人の価値観によりますよね。そうした迷信を重視しない方は、気にせずガーデニングを楽しんでください。結果としてお盆用の花を自宅の庭で育てられるのは、経済的にもお得です。
次の理由ですが、日本においてはエゾミソハギが侵略的外来種の問題を引き起こしているわけではないので、懸念する必要はありません。
ガーデニングの醍醐味は、自分の好みに合った植物を育てることにあります。もしあなたがミソハギに魅力を感じたなら、ぜひ植栽を試してみてください。