この記事では、勤務先から支給されたパソコンを私的に使用する際の潜在的な危険について解説します。
誰もが日々の忙しさから逃れ、わずかな自由時間を楽しみたいと考えます。だからといって、会社から渡されたパソコンやスマホを個人用途で使うのは原則として控えるべきです。
職場によっては業務成績が良好であれば、私用での使用を限定的に認める場合もありますが、ほとんどの場合は私的な使用が厳禁されています。監視されていないと油断して個人用途に使うことはないでしょうか？この記事を通じてそうした行動の危険性をお伝えします。
社内PC使用時のインターネット閲覧は監視されるのか
勤務中に会社のパソコンでウェブを閲覧することは、監視されていても監視されていなくても、ブラウジングの記録が残るため、追跡されるリスクがあります。
多くの社員が誤解している点として、「誰にも画面を見られていなければ問題ない」と思いがちですが、実のところログ情報は秘密を隠し切れません。
セキュリティの専門家は、ネットワークに何らかの問題が生じたとき、その原因究明の一環として、閲覧履歴を含むログデータを調査するかもしれません。
通常は会社側が従業員のインターネット利用を密に監視することはほとんどありませんが、異常行動が疑われた場合にはIT部門が監視を開始することがあります。
業務と関係のないウェブサイトの閲覧は、何らかのトラブルに巻き込まれたときに疑念の目を向けられる要因となり得るため、リスクを孕んでいます。
会社のPCは監視されてるので無用なネット閲覧はしないようにしてると、ずっとPCを使ってたのに、立てこもりのニュースをまったく知らなかった…
— オガシゲ (@sogagaga) May 25, 2023
個人の閲覧履歴、企業のITシステムでは消去不可能
たとえユーザーが自身のブラウザから履歯を消去しても、企業側のITシステムにはそのデータが残ったままです。
デバイス個別に履歴を消したとしても、企業のサーバーに蓄積された情報は削除できないのです。
このため、パソコンの履歴をクリアしたとしてもデータが全て失われるわけではなく、状況によっては再び参照されることが予想されます。
職場における私的インターネット使用が解雇事由になるか
オフィス内でインターネットを私用で使用することが発見された際の取り扱いに関していくつもの照会があります。一旦起こってしまった行為は戻すことができない上に、状況によっては解雇のリスクを否定することは出来ません。
以前、ある会社の経営者から職場での私的なインターネット閲覧に対する対策について相談を受けた経験があります。法的な見地では専門家ではありませんが、法律家に意見を求めた結果、最終的には解雇という手段が採られたのです。
何度注意しても改善されない場合は、懲戒解雇となる可能性があります。しかし、使用された時間がごく短いと、解雇されるケースはそれほど多くありません。
インターネットの使用が原因で企業の機密情報が洩れるなどの事態が起きた場合、解雇されるリスクは大きく跳ね上がります。
そういうわけで、仕事場での私的なインターネットの利用は控えた方が賢明だという結論に至ります。
会社がネットサーフィンを禁止する3つの理由
職場でネットサーフィンが禁止される最も重要な理由を以下にご紹介します。
業務外活動の制限を設ける意義
企業は業務遂行のための時間に対して報酬を提供しています。それにもかかわらず、仕事と関連しないインターネットの閲覧には給料を払っているわけではありません。
例えば、職場でサッカーの試合観戦を楽しんだり、エンタメニュースに目を通したり、次の外食先を探したりするような活動は、職務とは直結していません。
その結果、これらの時間が無益に消費されることになります。われわれは従業員がその能力を仕事に専念していただくことを望んでいます。
会社でのネット閲覧が制限されているため、ツイ出来ない。 当たり前なのかも。前と違う状況に戸惑っている。
— The Wise Man (@kazu0915) May 9, 2018
不正アクセス検出のための監視体制
場合によっては理解しづらいかもしれませんが、不正アクセスを発見するためには、ITスタッフが社員のインターネットの使用状況をチェックしているのです。
社員が意図的に会社の秘密情報を外部のウェブサイトにアップロードした場合、企業には甚大な被害が及ぶ可能性があります。従業員たちが頻繁にウェブブラウジングを行うと、不正利用の追跡に手間がかかり、監視業務が複雑化します。
反対に、社員がインターネットをあまり使っていない場合は、不正アクセスの記録が目立ちやすく、追跡作業もスムーズに行えます。
また、パソコンがウイルスに侵されると、不正なウェブサイトへの訪問やデータの不正持ち出しといった問題が起こることがあります。
不必要なウェブサーフィンが原因で生じる余計なログが、これらの問題をさらに難解にする事態も考えられます。
ネットワークコスト削減のための措置
ネットワークの帯域幅は有限であり、限られたリソースの中での利用が求められます。
全社員が好きなだけインターネットを使い放題だと、広範なネットワーク帯域が必要になりますし、使い過ぎで制限がかかることも懸念されます。
この状況をスマートフォンでのデータ通信制限に例えることができます。仕事に支障が出かねないために、個人利用によるインターネットの使用は一定の制限が課されています。
職場でのネットサーフィンが露見するタイミング
社内でウェブ閲覧が明るみに出る瞬間について、詳細な事例を通じて解説します。
注意喚起されることがあっても、仕事中に空いた時間を見つけると、多くの従業員がインターネットの波に身を任せがちです。
もちろん、このような習慣は避けるべきですが、暇を持て余した際にオンラインの海で時間を溶かしてしまうのは、誘惑に弱い人間の性でもあります。
それにもかかわらず、こうした行為は適さないため、控えた方が賢明といえるでしょう。
職場内のトラブル発生時の対応
職場でトラブルが生じると、管理部門はログデータの徹底した分析を通じて問題の根本を突き止めます。
この過程で、従業員の動向が細かく検証され、度重なる不正な欠勤や取引先との問題が明らかになることがあります。
特に、従業員が長期にわたり休暇を取っている間に取引先から緊急の問い合わせが入った場合は、その処理を目的として従業員のコンピューターが検査されることになり、時には思わぬデータが発見されることもあります。
これらのデータが従業員によって意図的に隠されたものではない場合でも、企業にとっては深刻な問題になることがあります。
職場でのウイルス感染とログ調査の流れ
職場で使われているコンピューターやスマートフォンがウイルスに罹った際、ログデータは念入りに分析されます。
ウイルスの疑念が持ち上がれば、労働者のデバイスに関するログが一斉に検査され、その過程で個人のネット使用歴も容易に露呈する事態になりえます。
セキュリティチームは感染の経路を追及し、その情報を基に他のデバイスが同じように影響を受けない様に対処策を施します。
このような手順を踏むうちに、プライベートなウェブ閲覧がウイルス感染へと繋がっていた事実が明らかになる可能性もあります。
システムログの監査について
高い機密性が求められる事業体では、システムログを定められた周期でチェックすることが常態化しています。
金融機関や次世代製品を生み出す企業群は特に、インターネットへの接続を制限し、遵守が必須の厳格なWeb利用規定を設けているのが一般的です。
こうした企業においては、毎月の報告書にて従業員のインターネット使用状況が監視され、規定に反する行動が見受けられた場合には、迅速に対策が講じられるシステムが整っています。
まとめ：仕事用コンピュータでのプライベートなネット閲覧は発覚するのか？
勤務先で支給されたパソコンやスマートフォンを私的に使用してインターネットを閲覧する行為は、いくつかのリスクを生じさせることが考えられます。
その主な要因は以下に示します。
- 閲覧履歴の検出可能性会社が管理しているデバイスで個人のインターネット使用を行なった場合、その履歴はほとんどの場合、追跡されることになります。セキュリティチームや情報技術部門は、定期的にログ情報を精査するので、私用でのインターネット利用は発覚しやすいのです。そのため、個人のスマートフォンやタブレットを使用することが望ましいとされます。
- ウイルスの危険性業務用デバイスがウイルスに感染すると、調査の中で従業員全員のデバイス使用履歴が洗われ、プライベートなインターネット利用記録も簡単に見つかってしまいます。個人的なネットサーフィンが原因でウイルスに感染した事実が判明すれば、職場での信頼を損ねかねません。
- 内部情報の安全性確保機密情報を扱う場合には、不正アクセスや誤ったインターネット利用を防ぐため、システムログを定期的に監査し、厳しいチェックを行います。金融機関や新製品を開発している会社などでは、外部とのネットワーク接続を完全に遮断することで、徹底したポリシーを適用しています。何らかの規則違反が見つかれば、直ちに対応措置が取られます。
これらのリスクを防ぐためには、職場における個人的なウェブ利用を避け、自分のデバイス利用することが賢明です。
そうすることで、職場でのトラブルや不信感を事前に防ぎ、職業人としての責任ある行動を守ることができます。
