もし海外、たとえばアメリカを旅行していて、気温が95°Fとテレビで放送されているのを目にした経験がある方もいるでしょう。
これは、華氏温度という単位が用いられているためです。実際に、この気温を摂氏で表すと、約32℃に相当します。
この記事では、温度を表示する際になぜ摂氏と華氏の二つの単位が用いられているのか、その2つの単位の相違点や換算方法、そして具体的な国々でどちらの単位が一般的に使用されているのかをご紹介します。
摂氏と華氏の違いについて
摂氏と華氏は温度測定の単位であり、ともに水の凍る点と沸騰する点を基準にしています。
摂氏の場合、水の氷点を0℃、沸点を100℃とし、この二つの点の間を100で分ける形で定義されています。
反対に華氏では、水が固まる点を32°F、沸点を212°Fとし、この二点間を180分割する方式をとっています。
従って、摂氏での1℃の上昇は、華氏で約1.8°Fに相当するという変換がされます。
温度の単位(摂氏・華氏)を同じ『度』と呼んでいることにより、
American「今日こっちは70度(70℉ = 21.1℃)あるZE」
日本「70度(70℃)!? 大丈夫か死ぬなよ!?」
American「?」— 青竹 / 麦(穀物P)@6/30メジステA9・8/11C104東3サ23b (@aotake91) June 15, 2024
摂氏と華氏の換算式
華氏から摂氏に変換する際には、以下の計算式を用います。
摂氏 = (華氏 − 32) ÷ 1.8
一方で、摂氏を華氏に変換する場合には、次の方法で計算します。
華氏 = 摂氏 × 1.8 + 32
たとえば、人間の平均体温を36.5℃から華氏に換算すると、約97.7°Fとなります。
摂氏と華氏の起源
摂氏と華氏は、それぞれ異なる時代に異なる国々の科学者たちによって考案された温度単位です。
華氏の誕生背景
1724年、ドイツ出身の物理学者であるガブリエル・ファーレンハイトにより、華氏温度計が考案されました。この温度計で使用される単位「華氏」は、ファーレンハイトの名にちなんで名付けられています。
摂氏の誕生
摂氏温度計は、1742年にスウェーデン出身の天文学者、アンデルス・セルシウスによって発明されました。この単位の名称は彼の姓に因んで名付けられたものです。メートル法が採用された1970年代に、世界の多くの国が摂氏を導入しました。一方で、現在でも華氏を使用し続けている国々があります。
もしかして、華氏表記って慣れたら摂氏より便利?
— (((陽))) (@katze0819) June 16, 2024
摂氏を採用している国々と華氏を使用している国々
アメリカの温度表記
アメリカ合衆国においては、公式には摂氏温度単位が使われているにも関わらず、実際の日常生活においては華氏が広く使われているのが現状です。
テレビでの気象情報では、通常、温度は華氏で表示されますが、インターネット上では摂氏と華氏が並列して記載されることが頻繁にあります。
家庭での使用における体温計では、摂氏と華氏の表示を選択できるようになっています。
教育の場においては、華氏の使用が優先され、摂氏は基礎教育の範囲内で扱われる程度にとどまっています。
アメリカでは、摂氏への完全な移行を図ることが経済に大きな影響を与えることから、その変換プロセスは難航している状況です。
また、アメリカに留まらず、ジャマイカ、バハマ、ケイマン諸島などの国々でも華氏が使用されているのが一般的です。
ヨーロッパの温度表記
ヨーロッパの国々の間でかつて広く利用されていた華氏の温度表示ですが、現在はドイツやフランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、そしてノルウェー、さらにチェコ、ポーランド、トルコなど、大部分の国々で摂氏の使用が一般的となっています。
ただし、イギリスに目を向けると、メートル法に基づく体系への移行が1960年代から1970年代にかけて促進され、摂氏の採用が推進されました。にも関わらず、現在に至るまで科学的な文脈ではない分野でのみ、なお華氏が使用され続けている状況です。
アジアの温度表記
日本をはじめとしたアジア地域の多くの国々では、例えば中国、韓国、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、シンガポール、インドなど、摂氏での温度表記が一般的に採用されています。
オセアニアの温度表記
オセアニア地域内において、オーストラリアやニュージーランドといった国々は主に摂氏を利用している一方で、パラオ共和国は例外的に華氏を採用している状況です。
温度単位に関する国際的な違いの概要
世界的に見て、温度を示す際には摂氏と華氏が使われているが、これが主流となる地域には差が存在している。米国などの一部の地域では、日々の生活の中で華氏の使用が根強く残っている。その一方で、科学的な場や公式な場面では摂氏が採用されることが一般的である。
例を挙げれば、米国では、政府は摂氏を公式に採用しているにもかかわらず、天気予報や普段の対話では依然として華氏が用いられている。学校教育においても、華氏の教育が優先される傾向がある。
欧州地域では摂氏が広く浸透しているが、英国では科学的な領域以外でたまに華氏が使われる場面も見られる。アジアとオセアニアでは、ほぼ一貫して摂氏が採用されており、特に科学の分野では世界共通で摂氏が使われている。
温度単位の採用状況は、文化や歴史の流れに強く影響されており、国際コミュニケーションやデータ交換を行う際には、このような違いを認識し、適切な理解と対応が求められる。