雛流しは現在も日本の各地で行われている民俗行事ですが、流した雛はきちんと回収されていることが大半です。
ひな人形の頭部分は陶器、石膏、木、プラスチックなど様々です。衣装などの素材も考えると自然に還す、と言っても還るまでに非常に時間がかかる印象がありますね。
回収する場合は人形を小舟に乗せて海に送り出し、すべての行事が終了しお客さんが帰ったのちに、船を出して回収し、最後は浜でお焚き上げを行います。
この記事ではそんな雛流しについて、下記の通りまとめてみました。
- 雛流し(流し雛)は回収している?
- 雛人形を流す理由とは?
- 雛流しを行う地域とスポットは?
- 自宅の雛人形の供養の方法とは?
雛流しについて疑問がある方には参考になると思いますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
雛流し(流し雛)は回収している?
雛流しは現在も日本の各地で行われている民俗行事ですが、流した雛はきちんと回収されていることが大半です。
回収する場合は人形を小舟に乗せて海に送り出し、すべての行事が終了しお客さんが帰ったのちに、船を出して回収し、最後は浜でお焚き上げを行います。
加太淡嶋神社には約2万体もの人形が奉納され、毎年3月3日の流し雛の日に船に乗せ淡嶋神社の沖に流される。その後どうなる?調べたら回収後焚きあげという行事で燃やすとの事。その後バナナを食べるらしい。その名もドールバナナ。嘘つきやした。 pic.twitter.com/n7YmnsKcwE
— びしゃりん (@bigbeatcarol) April 19, 2018
ところで、回収しない場合はあるのでしょうか?
人形の素材は様々ですが、基本的には水に溶けにくい素材が多いように思えます。
例としてひな人形の頭部分は陶器、石膏、木、プラスチックなど様々です。衣装などの素材も考えると自然に還す、と言っても還るまでに非常に時間がかかる印象がありますね。
そのため行事後に人形を全て回収し燃やす手法をとるところが大半である、といえるのではないでしょうか。
しかし一部では「紙雛」と呼ばれる紙製の人形をかたどったものに願いを込め、それを流すという風習があるところがあります。
平穏な日々願い「雛流し」
厄よけの願い事を認めた紙雛を川に流す伝統行事「雛流し」が4日、西川町間沢の寒河江川で行われ新型コロナウイルスの感染拡大の影響が広がる中参加者は事態の終息を祈願し約2500体の紙雛を木船や笹舟に載せて川に流し今年は規模を縮小し同店の来店者と関係者のみで実施した。 pic.twitter.com/E9Q7BSQIXT— 横浜の人【喪中です】 (@YokohamaNoHito) April 5, 2020
紙であれば水に溶け、自然へ還っていきますね。
この「紙の人形を流す」ことが実は雛流しの由来と言われていることをご存じでしたでしょうか?
雛人形を流す理由とは?
雛流しはひな祭りの原点ともいわれている行事です。
日本は古来より「神道」、自然界に存在する万物に神が宿るという信仰が根付いています。
病気は人間にとって避けられない出来事であることは今も昔も変わりがありませんが、昔は病気をすると「災い」や「祟り」が成すものである、と信じられていました。
その反面、神道の影響により植物には神の力が宿ると信じられていたことから、葉を人の形に加工し痛い部分など病気の発生している場所にその葉を撫で付け川に流す、という風習が日本各地で行われていました。
その人の形に加工した葉は「形代(かたしろ)」と呼ばれ、この形代が災いや祟りの身代わりとなると信じられていたのです。
やがて植物から紙へと形代が変わっていき、現在の人形に行き着きますが、その根底には「災い」や「祟り」の身代わりとし、無病息災を願う意図が込められているのです。
今日桃の節句は上巳(じょうし)の節句とも言います。
3月上旬の巳の日(水神の日)に、水で体を清めてする宴会(曲水宴の原形)が由来。後年は人形(ひとがた)を流して厄災を祓う儀式になり、その人形が雛人形になり、雛流しへと変化したようです。#桃の節句 #上巳の節句 #雛流し pic.twitter.com/5PSfs9xHHj— 刺田比古神社 岡の宮(公式) (@sasutahikojinja) March 3, 2020
雛流しを行う地域とスポットは?
雛流し行事が盛んな場所をいくつかご紹介します。
鳥取県鳥取市用瀬(もちがせ)町
「もちがせの雛送り」として県無形文化財指定を受けているほどの町ぐるみでの伝統行事となっていますが、新型コロナウイルス蔓延以降は中止が続いています。
鳥取用瀬町で古式豊かな雛流しが行われました。 pic.twitter.com/wu8CcUCPjk
— 影井冨美雄 (@o_uy4) May 24, 2015
淡嶋神社(和歌山県和歌山市加多)
全国の「淡島神(あわしまのかみ)」を祀る神社の総本山であり、人形供養で有名です。そのため毎年全国から雛人形が贈られ、その数は5万体にも達するそうです。
明日3月3日は、加太の淡嶋神社付近にて、『雛流し』が開催されます!
淡嶋神社の神事で、願いを書いた人形と、大切な思い出を海に流します。
コロナウイルス感染症を考慮して、雛舟の渡御は行われませんが、ぜひ実際にご覧いただきたい行事✨#なんて素敵な和歌山なんでしょう #mysecretwakayama pic.twitter.com/9gNLumYxDJ— 和歌山市 観光課 (@w_city_kanko) March 2, 2021
下鴨神社(京都府京都市)
人形を乗せた小さな「わら製の丸いふた」を神社内に流れる川に流し、子供たちの無事を祈る行事を毎年3月3日に行っています。
本日、下鴨神社では流し雛の神事が執り行われました。
流し雛は雛祭りの原型で、罪や穢れを桟俵にのせて流す事で、身を清める神事です。
休日ということもあり、例年以上の賑わいとなりました。#賀茂御祖神社 #京都 #下鴨神社 #神社 #雛祭り #雛流し #流し雛 pic.twitter.com/DB0l1YJZWS— 下鴨神社 (@kamomioyajinja) March 3, 2018
しかし身近で雛流しなどをしていない場合、人形の処分について頭を悩ませたことはないでしょうか?
自宅の雛人形の供養の方法とは?
処分方法としてはゴミとして捨てたり、業者に買い取ってもらう、また友人に譲るとか、寄付をするなどと言った選択肢があります。
ただ古来より災い・祟りの身代わりとしてきた伝統行事であることから、ルーツを知れば処分するのは忍びない・・・と思う方には「供養」をすることがベストであると考えます。
「人形供養」をおこなっている身近なお寺、神社を調べて持ち込み供養してもらいましょう。
どこの寺社も最後は「お焚き上げ」という燃やして供養する方法を取りますので、例えばガラスケースに入っている人形であればケースは引き取ってもらえない可能性がありますので注意してください。
その場合はガラスケースのみ、自治体に確認した上で自分で処分をしましょう。
またいつまでに処分しなければならないか、と悩む方もいるかと思いますが、何歳まで飾るという明確な決まりはありません。
何らかご家庭で転機となる出来事、例えば大学進学で一人暮らしを始めたなど飾る必要がなくなった時が処分のタイミングと言えるのかもしれません。