ドクダミを庭に植えることに慎重さは必要でしょうか?考慮せずに栽培してしまうと、その後の対処に困ることがあるので注意しましょう。
しかし、適切な方法で植えることにより、問題を回避することが可能です。
濃い緑の葉と、目を引く白い花を持つドクダミは、その美しさから魅力的に見えることがあります。
また、どくだみ茶としての活用も知られているため、自分の庭で育てたいと思う方も少なくないでしょう。しかし、その反面で敬遠されがちな植物であることも事実です。
そこで、私が提案するドクダミの栽培に関わるポイントを以下に述べます。
- ドクダミ栽培を避けるべき理由について
- トラブルを防ぐドクダミの安全な育て方
これらの情報は、ガーデニングを楽しむ方々にとって有益なものです。
庭園にドクダミを植えるべきでない3つの主要な理由
数々の理由がありますが、ドクダミを庭に植えることに反対する主張の中で、特に強調されるべきは次の三点です。
- 周囲の植物への影響が大きい
- 特有の強烈な匂いがある
- 一度広がると除去作業が困難
これだけでは詳細が不明確かもしれませんので、以下で各理由について詳細を掘り下げていきます。
ドクダミが庭を制圧してしまう理由
ドクダミは強い繁殖力を持つ植物で、地上部分は高さが20cm程度までしか成長しない低木です。しかし、地中では見えない所でその地下茎をどんどん伸ばしていきます。
種からの発芽はあまり見られないものの、地中の茎がどんどん増えていくことで、静かにその勢力を拡げていきます。
もしも一株を庭の片隅に控えめに植えたとしても、時間が経てば経つほどドクダミの支配するエリアは広がります。
そして、場合によっては庭全体がドクダミのテリトリーと化し、ほかの植物の生長を阻害する事態にもなりかねません。
このような状況を目の当たりにした誰もが、口に出しては言わなくても、「ドクダミなんて絶対に植えるべきではなかった」と後悔の念を抱くに違いありません。
さらに、ドクダミは明るい日差しの中だけではなく、日陰の環境下でも元気に育つので、日陰の庭にも影響を与えることなく成長を続けます。
暗い緑色の葉が生い茂ることで、見た目にも陰鬱な雰囲気の庭園を作り出してしまいます。
また、ドクダミはあまり肥料を必要とせず、一年中地下で成長を続けるため、その繁殖をより一層促進するという特性も持っています。
ドクダミ独特の嫌な臭い
ドクダミは、葉や花に特有の臭気を持ち合わせています。言い伝えによると、「ドクダミ」という名称は、その独特な臭いから「毒があるのではないか」と想像され、「毒溜め(ドクダメ)」と称されたことに起因しています。
そしてこの「毒溜め」という呼び名が徐々に「ドクダミ」と変わっていったとされています。
直接触れない限りは臭わないものの、踏んだり、引きちぎったりすることで、鼻をつんざく不快な悪臭が広がります。この臭いは、ドクダミが食害から身を守るためにあるものです。
動植物や昆虫に敬遠されるように、人間に対しても忌避感を抱かせる匂いとなっています。そのため、匂いに敏感であったり、花の香りを楽しみたいという方は、ドクダミを庭に植えることを控えた方が良いでしょう。
※また、ドクダミの名前には、生薬としての効果が「毒や痛み」に効くことから「毒痛み」と称されたことが由来という説も存在します。
※強烈な臭気により天敵を遠ざける特性は、ドクダミの卓越した繁殖力の一翼を担っています。
ドクダミ駆除の困難さ
ご自宅の庭にドクダミが繁茂し、「これは邪魔だし臭い、全部抜き取ろう」と考えても、実際はそんなに簡単にはいかないのです。この難しさの原因は、地下茎が非常に広範囲にわたり強靭に伸びているからです。
実は、ドクダミの地下茎は、20メートル以上にも及んで伸びることがあるのです。地表からドクダミを引っこ抜いても、地中にはまだ長い地下茎が残存してしまい、その部分から新しい芽が出てくる可能性があるのです。
地面を少し掘り返して地下茎を取り除こうとしても、確実に全てを除去するのはほぼ不可能であり、一見、全てのドクダミを駆除したように見えても、地中に残った地下茎から再発するので油断は禁物です。
加えて、ドクダミは多年生の植物なので、冬に枯れたように見えても、春が来ると再び元気に芽吹いてきます。これが、ドクダミの恐ろしい生命力とも言えるでしょう。
完全に庭からドクダミを取り除くためには、次のような、手間と労力が必要になる手段が考えられます。
- 庭全体を徹底的に掘り起こす作業
- 専門的な農薬を利用する方法
これらにより、徹底的な駆除が求められ、その作業は容易ではないと言えるでしょう。
ドクダミ栽培の安全な方法:3つのポイント
ドクダミを庭に植えようとするとき、否定的な面を気にされる方も多いでしょう。しかし、適切な知識をもって成長を管理することで、自宅で楽しむことも十分に可能です。
ドクダミの栽培で注意するべき害を回避するには、以下の方法を試してみてください。
- 鉢植えやプランターを使用して育てる
- 根止め板を利用して指定した範囲に限定して植える
- 目立たない裏庭など、利用していないスペースに植える
鉢植えやプランターによる栽培のメリット
ドクダミを管理しやすくするためには、鉢植えやプランターでの栽培が最適な解決策であります。
この方法を採用することで、成長範囲を固定できる上に、意図せず踏みつけてしまい不快な臭いを放つリスクを回避できます。
ただし、種が散布して地面に発芽する可能性は完全には排除できないため、注意が必要です。さらに、鉢底から根が伸び地面に到達することも考えられるため、直接地面に鉢を置くのは避けた方が賢明です。
鉢を置く際はトレイなどの上に設置するか、地面との接触を避けるためにコンクリートのような硬質の地面上に置くことをお勧めします。
根止め板を用いて専用スペースに植栽
「根止め板」とは、庭の特定の部分だけを美しく花壇として区画するための園芸グッズです。
この便利な根止め板を土に打ち込み、その区分けされたスペース内にドクダミを植えることで、地下から広がる茎がその領域を越えることなく抑制される効果が期待できます。
裏庭のデッドスペースに植栽適したドクダミ
ドクダミは、日影を好む植物で、湿度の高い環境でもよく育つ特性があります。通常ならば成長が難しい裏庭のような活用困難な空間にドクダミを植えることは、非常に適切な選択と言えるでしょう。
そのような活用されていないスペースをグラウンドカバーとして美しく彩ることができます。
また、人の出入りが少ないエリアであれば、ドクダミ特有の強い匂いに悩まされることもなく、気兼ねなく植栽することが可能です。
まとめ
ドクダミを庭に導入する場合、次のようなデメリットが存在します。
- 強い繁殖力により、庭全体を占拠する恐れがある
- 草を踏んだり葉を割ったりすると強烈な匂いがする
- いったん定着させると、撤去が非常に困難な作業になることがある
しっかりとした対策を行いながら植栽することで、花の鑑賞やお茶としての利用には全く支障はありません。
ドクダミの花を好む方は予想以上に多く(私を含みます)、気をつけつつ育てていく価値があると思います。