愛犬が病気や怪我でエリザベスカラーを装着している際、就寝時にもそのままつけておくべきか悩む飼い主さんも多いのではないでしょうか。
エリザベスカラーの装着を続けることの重要性や、もし外す場合に潜んでいるリスクを分かりやすく説明することで、愛犬の快適な回復をサポートしましょう。
犬のエリザベスカラーは就寝時も必要か
「エリザベスカラーって可哀想だし、夜は外してあげた方が良いのじゃないか」と考える飼い主は少なくないと思います。
しかし、実はエリザベスカラーは夜寝るときもつけたままが好ましいとされており、その理由には重要なものがあります。
原則として治療完了までエリザベスカラーを外すべきではない
エリザベスカラーは、犬が傷口や手術箇所などを自ら触れないようにするためのものです。
治療が完了する前に「可哀想」という理由で外してしまうと、回復が遅れる可能性があります。
犬が嫌がることもありますが、獣医師の許可が出るまでは装着し続けることが大切です。
エリザベスカラーを避けがちな理由
犬がエリザベスカラーを敬遠する理由はいくつかあります。
- 重さや違和感があり、ストレスを感じること
- 移動の際に物にぶつかってしまうこと
- 食事や水の摂取が困難になること
- 視野が狭まり、周囲の状況を把握しにくくなること
- かゆみを感じた際に掻けないことでストレスが蓄積すること
これらにより、日々の生活に苦労を感じる犬は少なくありません。
エリザベスカラーに慣れさせるための工夫
エリザベスカラーに慣れさせるためには以下のような工夫が有効です。
- 邪魔になりそうなものを片づける
- 食器の位置を調整して飲食しやすくする
- いつも以上のスキンシップや声のかけ方を心がける
犬がストレスなく生活できる環境を整えることで、エリザベスカラーへの適応を促すことが可能です。
慣れた後は装着が自然になる
初めは嫌がる犬も時間が経つにつれてエリザベスカラーに慣れ、問題なく普段の生活を送るようになります。
中には器用にエリザベスカラーを利用して体を掻いたりする犬もいます。要は、慣れが肝心なのです。
エリザベスカラーの重要性:夜間の着用をおろそかにしてはいけない
エリザベスカラーは、犬が傷口や治療箇所にアクセスするのを防ぐための器具です。犬にエリザベスカラーを装着するのは主に以下のような事例に適応されます。
- 手術した箇所の縫合部分の保護
- 炎症が強く、かゆみ・痛みを感じている場所
- 目の治療のため
- 自己切断などの自傷傾向にある場合
これらの状況で、夜間のみエリザベスカラーを外すとどんなリスクが伴うのでしょうか?
患部を悪化させる恐れがある
顎や足で治療箇所を舐めたり、掻いたりすると、症状が悪化し再治療が必要になる場合があります。
例えば、手術した傷口が開き、もう一度縫合する羽目になったり、感染を引き起こすこともあります。
結果として、エリザベスカラーを長くつけることになるかもしれません。
再装着が困難な場合も
一旦エリザベスカラーを取り外した後、再び装着することが犬にストレスを与え、抵抗されることがあります。クリニックでおとなしくさせることができたとしても、家庭内ではその限りではありません。
薬剤の効果が無くなる可能性
外用の薬剤を舐め取られると、治療効果が無駄になるおそれがあります。
目を傷つけるリスク
目の病気を抱えている犬は、掻くことでさらなるダメージを受けることがあります。
眠っている間もエリザベスカラーが必要
夜、犬が寝ている間にエリザベスカラーを外すことは、飼い主も睡眠中で監視ができなくなることを意味します。
一瞬のうちに患部を触ることでトラブルを引き起こし、治療が長引く原因となります。そのため、迅速な回復を目指し、夜間でもエリザベスカラーを装着した状態を維持することが肝要です。
愛犬がエリザベスカラーで休息する際の留意点
エリザベスカラーは休息中も装着することが推奨されていますが、気をつけるべき点が幾つか存在します。下記の要点を確認し、愛犬の状況を精密に観察しましょう。
楽な姿勢で横たわれるか検証する
通常、エリザベスカラーは着用したままであっても問題なく横になることができるはずです。
しかし、サイズ不適合などの理由で愛犬が適切に寝ることができない場合は、動物医療機関にご相談の上、適切なエリザベスカラーに取り替えてもらうことをおすすめします。
きちんと睡眠をとれているかチェックする
さらに、通常ならば疲れている筈の犬が眠らない時も注意が必要です。
既に触れたように犬はじきにエリザベスカラーに慣れることが多いですが、なかには慣れにくい犬もいます。
そのような犬は立ちながら眠ろうとしたり、不安になり徘徊することも考えられます。
エリザベスカラーを気にして眠らない犬は、睡眠不足になり体調を崩すリスクがあるため注意しましょう。寝れない様子かどうかしっかりと観察し、配慮してください。
エリザベスカラー装着中の就寝を拒む犬への対応策
治癒過程においてエリザベスカラーの着用は不可欠ですが、その一方で犬が睡眠不足に陥り体調を崩す事態は避けなければなりません。
犬が快適に安眠できるよう、飼い主として是非とも工夫を施しましょう。
愛犬の具体的な状況や寝姿勢に応じた対策を試してみてください。以下にいくつかの対処法を紹介します。
エリザベスカラーの材質を犬が好むものに変える
エリザベスカラーには、通常の動物病院で提供されるプラスチック製のベル型だけでなく、様々なバリエーションが存在します。
布やウレタン素材でできたベル型やドーナッツ型のカラーは、音や衝撃が少ないことが利点です。特にドーナッツ型は、愛犬が寝る際には枕としても使えますが、変形するリスクがあり、患部に犬が触れる可能性があるので注意が必要です。
また、透明なプラスチック製ベル型カラーは、視界を遮ることなく、患部をしっかり保護しますが、衝撃や音が大きいという欠点もあります。
エリザベスカラーはオンラインやペットショップで購入可能ですので、愛犬の様子や習性に応じて適切なものを選ぶと良いでしょう。
昼間はプラスチック製を利用し、夜は柔らかいドーナッツ型に切り替えるのも、1つの有効な使用法です。
獣医師に相談して術後服に変更する
傷口を保護する際、エリザベスカラー以外にも術後服を活用する方法があります。
これは身体にフィットする服で、傷や患部へのアクセスを防ぎます。ただし、保護したい部位によっては術後服でカバーしきれない場合もあるため、場合によってはエリザベスカラーを併用する必要が出てくることがあります。
また、愛犬が服を噛むということも起こりうるので、術後服を考える場合は、獣医師と相談することを忘れないでください。
愛犬が服着用を拒む行動を取る場合は、この方法は合わないかもしれません。大切なペットの条件や睡眠の体勢を考慮しながら、最適なアイテムを選んで、ここちよい眠りの環境を整えてあげましょう。
まとめ
愛犬が治療中に使うエリザベスカラーを睡眠時も続けて着用するべきかどうか、また、苦手とする場合の対応策について解説しました。
エリザベスカラーを苦手とする犬の姿を見ると、飼い主はエリザベスカラーを取り外してしまいたくなるものですが、そんな時こそ、快適な眠りのための環境調整やコミュニケーションを意識しましょう。
工夫を凝らせば、エリザベスカラーへの慣れと共に、愛犬も完治するまで心地よい時間を過ごすことができます。また、お洒落で可愛いデザインのエリザベスカラーも多く発売されているので、徐々に慣らすことも一つの手です。
大切なのは、愛犬の快適さを保ちつつ、問題部位をしっかり守ること。愛犬と共に治療期間を乗り切るために、エリザベスカラーを上手に活用していきましょう。