庭への藤の花植栽に否定的なのは、実は根拠のない話なのでしょうか？
実のところ、藤の花には幾つかの悪影響が認められますが、それを踏まえた上で植えれば大きな心配は不要です。
大きな問題とされる他の点については、ほぼ根拠の乏しい「迷信」とみなして差し支えありません。
実際、藤を庭に植えようとすると、時として「不吉だからやめなさい」といった忠告を受けるかもしれません。
しかし、別の見方をすると、好運を招くとも言われています。
そこで、本記事では、以下の点に焦点を当てて藤の花にまつわる真実を探ります。
- 藤の花を庭に植えるべきではないとされる理由
- 逆に縁起が良いというのは本当か？
- 藤の花を庭に安全に植えるための方法
植物を愛し、育てることに喜びを感じる私が、これらについて詳しくご説明しましょう。
藤の花を庭に植えるべきでない7つの理由
多くの人が藤の花を庭に植えることに懐疑的なのには、次の7つの理由が挙げられます。
- 藤という植物は、不治の病を想起させがちです。
- 花が下に垂れることで、家族の繁栄が衰退する象徴とされることも。
- ツル植物のため絡みついて周囲を圧迫する、と捉える人もいます。
- 建物の雨樋や壁面への損傷が懸念されます。
- 強力な根を広げる性質があり、植える場所を選びます。
- 花が開花するまでに数年を要する場合が多く、根気が必要です。
- また、藤の花言葉は一部に怖さを感じる人もいるようです。
これら7つの理由の中で、実際に庭への損害をもたらす可能性があるのは3つ、迷信に基づくものが4つと分けられます。それでは、これらのポイントについてさらに詳しく見ていきましょう。
藤＝不治の病への連想
「藤（ふじ）」という単語には、「不治（ふじ）の病」というフレーズとの間に音的な類似性があります。
このために、「不治の病」とは治すことのできない疾患を意味することから、庭に藤の花を植えると不治の病に苦しむことになるという迷信がささやかれていたのです。
こうした迷信は明らかに根拠のないもので、昔の日本社会において言葉の響きが重視されていた習慣の名残りが、現代まで引き継がれています。
花が下垂する＝家運の衰退
樹木の中でも、その花が地面に向かって下垂しながら咲き乱れる藤が、多くの人々に愛されています。
家庭の庭に彩りを与えてくれそうな藤の植栽に魅力を感じる方は少なくありません。それにもかかわらず、昔の人々は花の垂れ下がる様を見て、「家運が衰える」と解釈していたのです。
言い換えれば、藤を庭に植えると、家族の健康や財務に悪影響が及ぼすと信じられていたのですね。
また、一般的に下向きに成長する木々は、藤だけでなく「凶木」とみなされ、過去を通じて忌避の対象とされてきました。
藤：絡み付きがトラブルの元
藤はツル状の茎を有する植物であり、そのツルは力強く伸び、他の樹木の幹や藤棚などと絡み合いながら成長する性質があります。
そのことから、まるで強く抱きしめるかのようなしぐさが「しばりつける」「窮屈にする」といったイメージに結びつけられ、不吉な印象を持たれがちです。
さらに、家の中で不和が生じることもあるとされています。
建物へのダメージが心配される藤
藤が花を咲かせるためには、巻きつくことのできる構造が必要で、藤棚がないときには、雨樋やベランダの手すりを巻き付ける対象とすることがあります。
成長するにつれて、そのツルを取り除くことは難しくなることも。特に柔軟性のあるプラスチック製の雨樋の場合、ツルの圧迫力によって損傷を受ける可能性が高まります。
加えて、家の壁に対してもツルが広がることで傷や汚れを引き起こすリスクがあります。
藤の激しい根の成長
庭に藤を植える際にはその強力な根の張り方に注意が必要です。
インターネットの掲示板では、藤の根が家の基盤を損なうほど強力な勢いで成長すると警告する声や、底板を持ち上げるほど絡みつく根の事例が報告されています。そんな恐るべきエピソードは少なくありません。
私の住む地域にも、公園の藤棚の下のタイルが根の伸長により浮き上がっているのを目にします。こうした藤の根の勢いは甘く見てはいけないと肝に銘じておかなければなりません。
花が咲かない・開花までの時間
もし鉢植えで育てていた藤をお庭に移植した場合、しばらくの間は花が開かないことが多いです。せっかく花開くのを楽しみにしていると、これはとても残念なことですよね？
場合によっては、お庭には植えない方が良いとされることもあるのです。
でもなぜ、鉢植えで順調に花を咲かせていた藤が地植えにした途端に開花しなくなるのでしょうか？理由は、広い地面に根を下ろすことで、植物はより成長を優先する方向にシフトするからなのです。
鉢植えの際は根や幹の成長に制限があるため、それを補うように花を咲かせるエネルギーを割り当てることができます。
ですが地植えに変わると、「花を咲かせる」ことよりも「成長する」ことにリソースが集中するのです。もちろん時間が経てば、植物も成熟し、以前のように花を楽しむことができるようになります。
花言葉に秘められた恐怖
一見チャーミングに映る藤の花には、好意的な花言葉が数多く存在します。
- 優美さ
- 温かな迎え
- 誠実さ
これらはよく知られる肯定的な意味合いとして受け取られがちです。だが、時には否定的なイメージを連想させる花言葉も見受けられます。
- 恋の酔狂
- 分かれ道のない絆
これらは、どこか一途な愛情が過ぎて、執着する様子を思い描かせるもの。
藤の花が醸し出す甘美な香りに心を奪われる、あるいはその蔓が他の木に絡み付き解き放たないように、独占欲が強い感情を連想させるのです。
視点を変えると、藤の花に潜む陰りを感じ取ることができるでしょう。
藤の花の縁起の良さについての伝承
藤の花はその美しさだけでなく、幸運をもたらすとも言われています。その理由は以下の２つに分類されます。
- 藤（フジ）という言葉が不死を思わせることから縁起が良いとされる。
- 非常に寿命が長い植物であり、長寿の象徴と考えられることもある。
藤=不死を想起させる象徴
「藤」という花の名称は、不滅や永遠の命を思わせる言葉「不死」と響きが似ています。
不死とは死なないことを意味し、藤が不治の病に通じるとして縁起が悪いともされがちですが、「不死」の概念はまったく逆のポジティブなイメージです。
「不死身」を連想すると、さらに藤の魅力が際立ち、庭にこれを植えることは永遠の健康を手に入れるような気持ちにもさせるでしょう。
寿命の長さが特徴
また、藤の植物は非常に長い寿命を持つことで知られています。
1000年を超える老木も決して稀ではなく、日本には樹齢1200年を超える藤の木も存在します。
例えば埼玉県春日部市の牛島にある藤が知られています。長寿を願う人々にとって、藤は最も縁起の良い植物のひとつと言えるでしょう。
庭園での藤の安心栽培テクニック
仮に私の庭に藤を植栽するとしたら、次のような私ならではの栽培方法を提案します。
- 住居から一定の間隔を保って配置
- しっかりとした藤棚の設置が不可欠
- スペースが限られている場合はプランターでの培養も考慮
以上を3つの主要ポイントとしてまとめてみた次第です。
家の周辺に適切な距離を保って植栽
ご自宅のすぐ側に植木を植えてしまうと、諸々の問題が生じる可能性があります。
たとえば、藤のツルが雨樋やエアコンの配管に絡みついたり、根が張って建物の基礎に影響を与えることなどが考えられます。そのため、植栽は家から距離を置いた庭の一角が望ましいです。
特に、自宅の外周に位置する生け垣などが、己の敷地内に留まり、かつ隣の家に迷惑をかけない理想的な場所と言えるでしょう。
藤棚の準備を怠らない
ツル性の植物である藤は取り巻く支持体が不可欠です。他の樹木やフェンスに絡ませることによって引き起こされる問題を回避するためにも、専用の藤棚の設置が重要です。
木製の丈夫な藤棚をDIYで作るのは困難かつして業者に頼むと費用がかさみますが、パイプ材を使用した商品選びなら、比較的リーズナブルに設置が可能となります。
スペースが限られている場合は鉢植えで
お庭のスペースが限られている場合は、地面に直接植えるのは避け、鉢植えにすることをお勧めします。鉢植えであれば、藤の成長を制御しやすく、害を受けることもなく安全に管理が可能です。
動画で紹介されているように、小さめの盆栽であっても、見事な紫色の花を楽しむことができますね。花々が豊かに咲き誇っている様子は見事です。
まとめ
藤の花栽培を避けるべき理由については、大部分がただの迷信です。
たしかに、蔓や根の伸びが原因でまれに問題が生じることもありますが、その寿命の長さはむしろ吉兆とされる特徴でもあります。
家の周囲に十分なスペースを確保し、藤棚を設けることで、問題なく栽培できます。広い庭がない場合でも、鉢植えにすることで美しい藤の花を楽しむことができます。
藤は言うまでもなく特別な意味を持つ人を除いて、忌避する理由はなさそうです。
長い歴史を持ち、日本の古い記録にもその姿を見ることができるこれらの花は、国内で広く愛されてきました。
明るい日差しのもとであれば、藤は生き生きと育ちますので、ぜひとも栽培に挑戦してみる価値はあります。
