生活の中で毎日出る生ごみの削減とリサイクルに一役買っているコンポストが注目を集めています。家庭で簡単にできることから多くの人が試していますが、時にはうまく発酵しないことがあるかもしれません。
コンポストの主成分であるピートモスや水と一緒に、日々の生ゴミを入れて混ぜるだけのシンプルな作業。しかしそれらが思うように発酵しないと、どうしたらいいか困ってしまいますよね。
コンポストの発酵が進まないときの要因としては、コンポストに適しているものと不適切なものを間違えて投入していること、また必要な温度や熟成を得られていないことが考えられます。
コンポストの作り方自体は難しくありませんが、ただ闇雲に生ゴミを投入していてはうまくいかないものです。うまく発酵しない時に見直すべきポイントとして、何を入れるべきか、何を入れてはいけないか、温度や熟成期間の管理についてご紹介しましょう。
家庭のゴミを削減し、堆肥としてお庭の畑や花壇に再利用するためにも、ここで紹介するコツを参考に、ぜひコンポスト作りを成功させましょう。
コンポスト発酵トラブル?原因は材料の見直しで解決かも
コンポストがうまく発酵しない問題に直面した際には、投入する材料を再検討することで、発酵促進につながるかもしれません。コンポストは適切な環境作りが重要です。
コンポスト作りの土台となるのは、「基材」と呼ばれるもので、ピートモスと籾殻炭を大体6:4の割合で混ぜたものに水を加えるだけで完成します。よく、複雑な材料や専門の道具が必要と考えがちですが、実際はそれほどのものは必要ありません。
この土台をコンポスト容器に敷き、生ごみを投入していきますが、発酵を適切に進めるために覚えておくべきポイントがあります。コンポストには向いている材料と避けるべき材料が存在するのです。
コンポストに適した材料を再確認し、何が発酵を妨げているのか特定することで、トラブル解決の糸口が見えてくるはずです。
コンポストに必要なものと発酵のコツ
コンポストの発酵を促進するためには、水分と共に米ぬかや発酵促進剤を加えることが重要です。適切な条件を整えて、効率良くコンポストを作りましょう!
ポイント1 水分は適度に調整しましょう
コンポストには60%程度の水分量が適しています。ベースを作る際に水を適量加えることで、発酵がスムーズに進むでしょう。ベースの土を握った時に、固まった塊が割れる程度の水分が理想的です。
ポイント2 水分の過剰は発酵を妨げる原因に
やりすぎるとコンポストが腐敗するリスクがあるため、水分量は注意が必要です。生ごみは水分を出来るだけ切り、コンポストに追加することで水っぽくなりすぎるのを防げます。
ポイント3 発酵を助ける材料も忘れずに
米ぬかは発酵を促進しやすい材料です。一握りを生ごみに混ぜるだけで効果がありますし、市販の発酵促進剤も使いやすく消臭効果も期待できます。発酵が進まない場合には、これらの材料を追加してみてください。
コンポストで避けるべき材料
コンポスト発酵に適さないものは実に多岐にわたります。特に注意が必要なのは容易に分解しない生ごみ、生ごみと間違いやすいガラスやプラスチック、そして落ち葉などです。生ごみを無差別に投入することで、発酵が滞り、固形物が余ってしまうことがあり得ます。分解しづらい生ごみとして以下のものが挙げられます。
- 肉や魚の骨
- 貝殻
- 玉ねぎの皮やとうもろこし、タケノコの芯
塩分濃度が高いものは、洗浄するか、最初からコンポストに入れないことでトラブルを避けられます。また、落ち葉や木材関連のものは分解まで数年かかるため、不向きな材料と言えます。
誤解を恐れずに言うならば、自然発生のものであってもコンポスト化に向かないケースが多々あります。加えて、以下のようなほとんど分解されない材料や有害物は避けるべきです。
- ガラス
- プラスチック
- 金属
- 革製品
- タバコの吸殻や薬品類
これらの材料は明らかに分解されにくいだけではなく、健康にも害を及ぼしうるため、コンポストに投入するのは厳禁です。
今回ご紹介した内容を踏まえ、コンポストがうまく発酵しない原因は、投入する素材の選別に関連していることがお分かりになったかもしれません。適切な素材を選び、コンポストの効率的な分解と発酵への道を進んでいきましょう。
コンポストの発酵を助ける温度管理
コンポストが発酵を始めるには、一定の温度が求められます。発酵に必要な温度範囲は、20℃以上60℃以下で、この温度帯を保つことで微生物が生活ごみを効率的に分解できる環境が整います。
ただし、冬季や日陰の場所にあるコンポスト容器の温度は低く、発酵が進むのが遅くなってしまうことがあります。そんな時に試せる、コンポストの温度を上昇させる方法をいくつかご紹介します。
- 生ごみの投入量を調節して、一度に入れる量を控えめにする。
- コンポスト容器を屋外の日陰から屋内や日当たりの良い場所へ移動させる。
- 発酵を促進するたんぱく質源として、米ぬかや使用済みのてんぷら油、魚の残りなどを加える。
- お湯を入れたペットボトルをコンポスト内の基材の中にセットする。
これらの簡単なアイデアとちょっとした工夫で、コンポスト内の温度が高まり、発酵が促されます。
また、ぬか漬けのようにこまめに内容物をかき混ぜることで、酸素が行き渡り、温度が高まりやすくなるので、1日に1回以上のかき混ぜることを心がけましょう。
コンポストを熟成させるためには時間が必要です
コンポストに生ごみを入れ、完全に発酵して堆肥として活用するまで、夏の場合はおよそ一ヶ月、冬場では二ヶ月から三ヶ月を要します。ただし、生ゴミを投入し基本の素材と単に混合するだけでは、すぐには堆肥化は望めません。
微生物による生ごみの徹底した分解を経て、有用な栄養素へと変貌するまでの期間を、私たちは「熟成期間」と称します。この熟成期間を適切に取らずにコンポストを利用すると、虫が発生したり、植物の健康を害することにも繋がりかねません。
夏期は毎日コンポストへ生ごみを足し、二週間経過後に更に一ヶ月ほど熟成させれば、堆肥としての使用が可能になります。冬期の場合、毎日の投入後、一ヶ月静かに置いた後、さらに二から三ヶ月熟成させることが必要です。
三日から一週間の間隔で一~二リットルの水を加え、コンポストをしっかりとかき混ぜることで、発酵と分解がスムーズに進行します。コンポストを急いで使いたくなる気持ちもわかりますが、じっくりとした熟成期間を経ることで、高品質な堆肥を得ることができるでしょう。
まとめ
コンポストがうまく発酵しない場合は、投入する内容物を再考し、適切な発酵環境が整っているか確認が必要です。
コンポストを正常に発酵させるには、ウチワエビなどの微生物が活動しやすい20℃から60℃の範囲で温度を維持することが求められます。
生ゴミがコンポスト内で発酵し、使用可能な堆肥に変わるまでの時間は、夏場であれば約1か月、冬場では約2~3か月が目安です。
本稿では、コンポストが発酵しない主な要因として、投入物の種類や量、環境温度、熟成期間の不足を挙げて解説しました。
コンポストが期待通りに機能しないと、コンポストに取り組む意欲が失われかねません。この記事が、みなさまが直面している問題を解消し、コンポストを継続的に楽しむ助けとなることを願っています。