昨今、日本固有の伝統が少し軽視されつつあり、代わりに西洋の文化が人々の間で浸透していますよね?
たとえばクリスマスは今や日本の冬の風物詩として定着し、徐々に人気を集めているイースターもぐんぐんとその知名度を伸ばしています。
その中でもハロウィンは、近年の著しい人気拡大で一際目立っています。
例えば100円ショップに足を運ぶと、ハロウィンシーズンにはオレンジのカボチャをモチーフにした小物や、季節限定のグッズが店頭に並んでいます。また、百貨店などでは派手なハロウィン装飾が目を引きます。
そうした光景からも、ハロウィンが日本でしっかりと根付いていることが分かります。
ですが、日本におけるハロウィンの祝い方には、実はいくつか誤解されている部分が存在するのをご存じですか?
そこで、私が以下の点についてご説明しますね
- ハロウィンに対する日本人の誤解
- なぜこの行事が日本で流行ったのか
日本人が勘違いしがちなハロウィンの5つのポイント
一般的にハロウィンは西洋、特にヨーロッパの伝統的な行事だと認識されています。
そして、そこでは特有の祝い方が存在しますが、意外と知られていないのが、日本におけるハロウィンの独自の楽しみ方と、元来の欧米のハロウィンの違いです。
細かいところを見てみると、日本と欧米では以下の5つの大きな相違点が見受けられます。
- こどもたちが中心となる行事である
- 「幽霊や怪物」といった存在に扮するのが一般的
- 「キリスト教徒」の祝日とは異なる
- 屋外よりも自宅でのパーティが主流
- そのお祭りは10月31日1日に限定されている
ハロウィンにおける本来の“主役”とは子供たち
日本におけるハロウィンの風景といえば、しばしば不評を買う話題が挙がるものです。特に都心の繁華街では、大人たちが仮装をして盛り上がる姿が注目されがちです。
確かに、それ自体は楽しいことかもしれません。しかし、問題はその後です。楽しんだ後のごみのポイ捨ては、毎年多くのメディアが取り上げ、批判される光景となっています。
これは、ハロウィンに対する誤解かもしれません。
実際、欧米におけるハロウィンでは、主役は子供たちなのです。小さな子供からティーンエイジャーまでが、賑やかな仮装をし、近所の家々を「トリック・オア・トリート」と訪れ、お菓子をもらって回る。
この風習が本来のハロウィンの姿。成人がコスチュームを身にまとうこと自体は稀で、ましてや大いに騒ぎまわるなどということは、一般的ではありません。
「悪霊」への仮装の根源
ハロウィンの夜は、10月31日に先祖の霊が家を訪れるとされており、同時に負のエネルギーを持つ悪霊や魔女たちもこの世に姿を現すとされています。
これにちなんで、もともとのハロウィンのコスチュームは「悪い者」に化けることに他なりません。したがって、伝統的な仮装として相応しいのは、「魔女」「骸骨」「ゾンビ」「幽霊」といった存在が挙げられます。
アメリカではホラー映画が文化に大きな影響を与えており、「ドラキュラ」や「フランケンシュタイン」といったキャラクターも広く認知されており、ハロウィンの仮装の選択肢として流行しています。
しかし、日本に目を向けると、マーベルヒーローや国内アニメキャラクター、バニーガールやナースといった様々なコスチュームが見受けられ、まるでなんでもアリの仮装大会の様相を呈しているようですね。
どうやらハロウィンの真の意味を見落としている節があるようです。
ハロウィンはキリスト教の行事ではない
しばしば日本では、西洋文化とキリスト教の祝日を一緒に考えがちですが、ハロウィンがキリスト教の祭りだと思い込んでいる方も少なくありません。しかし、実はこの考え方は誤解に基づいています。
ハロウィンは、実際には古代ケルト人の宗教行事に端を発しています。このケルト人というのは、かつて中央アジアからヨーロッパに渡った民族で、今日では主にスコットランドやアイルランドにその子孫が居住しています。
アメリカにおけるハロウィンの盛り上がりは、アイルランド移民によって持ち込まれた文化の影響ですが、そのプロセスで元々の宗教的な背景は薄れていったのです。
ですので、アメリカで盛んに祝われているからといって、キリスト教の祭りとは異なるのです。
ハロウィンの出自を辿ると、ケルト系の人々が多く暮らすアイルランドや、カナダやオーストラリアのようにイギリスと深い繋がりのある国々では、ハロウィンが広く祝われています。
これはカトリックの影響が強い国とは異なります。実際、カトリックが主流のイタリアやフランスでは、ハロウィンはほとんど祝われていないのです。
家庭で過ごすハロウィンの魅力
ハロウィンと聞けば、日本の若者の間では街へ繰り出し、ディズニーランドでの特別イベントに参加するか、コスプレをして夜のクラブに足を運び賑わうことが一般的です。
ところが、欧米諸国に目を向けると、ハロウィンは大きく異なる風景が広がります。10月31日のこの祝日には、自宅をハロウィン仕様に装飾し、親しい友人や親族を招いて、暖かみのあるホームパーティーを開催するのが伝統的なのです。
それぞれがハロウィンに因んだ料理を持ち寄り、共に食事を楽しんだり、様々なゲームで盛り上がるなど、居心地の良い家の中でのひとときを満喫するのが一般的とされています。
このような文化を持つ人々から見れば、知らない人々が集うことでヒートアップする日本のハロウィンの風景は、かなり奇妙に映るかもしれませんね。
10月31日限定のハロウィン
秋が深まると、9月の終盤から街はハロウィンムード一色に染まります。至る所で黄色いカボチャのランタンが飾られ、ショップやお店ではハロウィン関連商品が並ぶ光景が目立ちます。
こういった風景を目にすると、ハロウィンがクリスマスのように2、3日続くのではないかと思う人もいるでしょう。
しかし実際には、ハロウィンは10月31日の「1日限り」のお祭りです。古くからケルト人の間で、秋の収穫を祝うと共に邪悪な霊を払う民族的な儀式として行われてきました。
ただし日本の場合、お祭りとしての認識が強いため、テーマパーク等は9月の終わりごろから10月の終わりまで、ハロウィンをテーマにしたイベントを開催することがよくあります。
日本におけるハロウィンの普及
日本において「ハロウィン」という言葉が広まりだしたのは、1990年代を過ぎてからです。元々はそれほど馴染みのなかったこの行事が、なぜ一気に知名度を高めたのかは興味深い点です。
その変化の背景には、日本国内でもテーマパークが立ち上げるようになり、季節に応じたイベントを提供し始めたことがあると考えられます。
特に注目すべきは、1997年頃に東京ディズニーランドが「ディズニー・ハッピーハロウィン」と銘打ってイベントを開催したことで、その名称が急速に一般に広まったという点です(他にも理由はありますが)。
ディズニーランドは、その後も日本における年間来場者数でトップを誇り、幅広い年齢層から愛されています。
このようにディズニーランドを発火点に、その後国内の様々な遊園地でもハロウィンイベントが開催され、一般的な秋の行事として根付いてきました。
今では、幼稚園や保育園など教育の現場でも、秋の季節の一環としてハロウィンを取り入れ、子どもたちが楽しむ風景も見られるようになりました。
ハロウィンの誤解を解いて
日本で受け入れられているハロウィンですが、本来の姿と違って認識されている点がいくつか存在します。その5つについてお話しましたので、振り返ってみましょう。
- 実際は子どもたちがこのイベントの中心である
- 「悪霊の扮装」が伝統的なスタイルとして確立されている
- このお祭りは「キリスト教」に由来しない
- お祝いの場所としては「家」の中が一般的
- ハロウィンは10月31日の「1日間限定」で行われるもの
特にハロウィンというと、さまざまな店舗でカボチャを使ったお菓子が目を引きますね。
例として、スイーツ好きな方に人気の「スイーツパラダイス」では、ハロウィンシーズンにあわせて、カボチャのタルトやプリンといった商品が並びます。
秋の訪れと共に栗や紫芋など、秋らしい食材を使ったスイーツも陳列されており、見た目が華やかで味も魅力的な点が満載です。バイキング形式なので、ついつい手を伸ばしてしまいがちです。
また、ディズニーのようなテーマパークでも、ハロウィン限定のカボチャフレーバーのチュロスやアイスクリームなど、期間限定で様々なスイーツが販売されています。
ですので、ハロウィンの時期はつい美味しいものを食べすぎてしまい、知らず知らずのうちに体重が増えてしまうことに注意が必要です。というのも、そんな個人的な注意喚起でもあります。